米富繊維株式会社

米富繊維株式会社

ここにしかない
温かみのあるニットを届ける
米富繊維株式会社(山辺町)

米富繊維株式会社は、山辺町から世界にニット製品を届ける老舗ニットメーカーです。近年は、企業から受注するOEMに加え、オリジナルブランド「COOHEM(コーヘン)」「THIS IS A SWEATER.」「Yonetomi」を立ち上げ、オリジナル製品の生産販売にも力を入れています。今回は、ニット作りの魅力や仕事内容を、U/Iターンをして働く須藤彩美さんと、杉澤恵さんに伺いました。

須藤彩美さん

須藤彩美さん 管理部
山形県生まれ。地元の高校を卒業後、関東の短大へ進学。卒業後はアパレル業界へ就職し、新潟県で販売員として勤めた。その後Uターンし、米富繊維株式会社で販売や総務に携わる。

Uターンのきっかけを教えて下さい。

出身は山形県です。高校時代からアパレル関連の職業に興味があり、ファッションが学べる関東の短期大学に進学しました。卒業後はアパレル企業に就職し、配属先の新潟県で、販売員として勤めていました。
山形に戻ってきたのは、ライフスタイルの変化がきっかけです。
一度出たからこそ、戻ってきてから山形の良さを感じますし、安心しますね。

現在の仕事内容を教えて下さい。

管理部での事務仕事と、ECサイトを通じてのオンライン販売業務を行っています。販売業務ではこれまで培ってきた知識も活かして、お客様の対応をしています。実際に店頭に立って接客をすることもあり、週に数回は直営店であるヨネトミストアで接客・販売をしています。

仕事をしていて大変なことはありますか。

前職での販売のお仕事はお客様のことを一番に考え、販売や売上を作るために、動いていました。ですが現在は管理部の業務など、販売以外の仕事もしているため、社内の各部署との連携やスケジュール管理もする必要があり、コミュニケーションをとってスムーズに仕事が進むように調整するのが大変だと感じることもあります。
ただ、いろいろな部署と近く関わることができるので、商品ができるまでの過程や作り手の想いを知ることができるため、販売に活かすこともできますし、面白いですね。

米富繊維株式会社

杉澤恵さん

杉澤恵さん 生産部
岩手県生まれ。地元の短大から山形の大学へ編入。卒業後、事務職や、販売接客の経験を経て米富繊維株式会社へ入社。生産部に配属。

Iターンのきっかけを教えてください。

私は岩手県出身で、山形の大学への編入を機にこちらに来ました。山形で過ごすうちに、生活の基盤ができたこともあり、そのまま県内で就職し、現在まで暮らしています。

現在の仕事内容を教えて下さい。

生産部で、ニットの生地を機械で編む仕事をしています。パソコンで柄を組み、機械にデータを流して生地を編みます。編みあがったものにほつれがないかなどのチェックまでが私の仕事です。
また、月に1~2回はヨネトミストアで接客もしています。

仕事をしていて大変なことはありますか。

当社の生産部は、機械を使ったり、プログラミングをしたりして生地を作成する、アパレル業界では毛色の違う部署です。柄を組むためのプログラミング作業では、機械が実際にどう動くのかを想像しながら書いていくため、経験と知識が必要となります。部署の中でも私は一番の若手なので、ベテランのスタッフに教わりながら作業を行っています。

米富繊維株式会社
柄を組むプログラミング。色は編み方など、機械への指示を表している

どのような時にやりがいを感じますか。
須藤
当社のように日本国内で、デザインから製造、出荷までを手作りで手掛けている製品はあまりないと思います。お客様から声をもらうと、とても嬉しくなります。
現在、日本製のニット製品は、市場の1%未満しかないといわれています。それを支えていると思うと、無くしてはいけない技術だと強く感じます。
杉澤
徐々にですが、実際に販売するための生地編みを任せてもらえるようになってきました。自分が関わったニットが店頭に並び、それをお客様の手に取ってもらえる瞬間は、やはりやりがいを感じますね。つい「私が編んだんです」と言ってしまいます。

米富繊維株式会社の魅力を教えてください。

須藤
米富繊維のニットは温かみがあって、作り手の愛情がこもっています。それぞれの商品にはストーリーがあるので、そのバックグラウンドを知ってもらい、着るたびに思い出してもらえたら嬉しいですね。
それから、当社は山辺町を拠点としていますが、日本国内のみならず海外の企業と取引することもあり、山形だけでは感じられない刺激もあります。昔からある弊社の技術も活かしつつ、作りたいものを作るというスタンスで、新しいことにも果敢にチャレンジしています。
杉澤
地域に根差した歴史のある会社でありながらも、新しいことに挑戦しているのが一番の魅力だと思います。ファストファッションが主流な昨今ですが、当社のニットは長い期間、愛着を持って着ることができる商品です。当社のような、地方に元々ある、無くなってほしくない技術が、これから先の未来に残っていったらいいなと思います。
また、職場はとてもアットホームです。ベテランの職人さんたちも優しいですし、同世代同士でも仲がいいです。

今後の目標を教えて下さい。

須藤
直営のヨネトミストアもECサイトも、認知度が上がってきているのを感じています。ポップアップとして出店する機会も増えてきました。今後広く展開していく中で、私の役割は生産現場とお客様をつなぐことだと思っています。販売の経験を活かしつつ、もっとお客様に当社のニットや、ニットに込められた作り手の想いを知ってもらいたいです。逆に、お客様からもらった言葉も、しっかりと作り手のみなさんへお伝えし、より良い商品を作る助けになればと思います。
杉澤
柄組みや機械の扱いといった生産部に必要な知識を蓄え、任せてもらえる仕事を増やしていきたいです。今は簡単な柄を編んでいますが、いずれは「COOHEM(コーヘン)」の複雑な柄の生地も担当できるようになりたいと思います。そして、自分が編んだニットを、もっとたくさんの人に届けられるようになりたいです。
米富繊維株式会社
ニットの生地を編む機械。不備なく編みあがるように、稼働中は傍で機械の動きを見ることもあります

お二人が身に付けているのは、どちらもブランド「COOHEM(コーヘン)」のニット。お話からもニット製品への自信や愛着が伝わってきました。須藤さんが支え、杉澤さんのつくるニット製品が、これから店頭に並ぶのが楽しみです。

(2025/9/16取材)


米富繊維株式会社

米富繊維株式会社
1952年創業の老舗ニットメーカー。自社開発の高品質テキスタイルを基に、素材から量産まで一貫生産しています。OEM・ODM・自社ブランドを展開し、唯一無二のものづくりで国内外から信頼を得ている企業です。

会社名 米富繊維株式会社
代表者:代表取締役会長 大江富造/代表取締役社長 大江健
創立:1952年8月1日
従業員数:60名(男20名 女40名)※除く役員
事業内容:ニットの企画、製造、販売
所在地:〒990-0301 山形県東村山郡山辺町大字山辺1136
TEL:023-664-8166
FAX:023-664-8169
URL:https://www.yonetomi.co.jp/

日新製薬株式会社

日新製薬株式会社

医療に貢献、人々の健康を維持する医薬品をつくる
日新製薬株式会社(天童市)

日新製薬株式会社は、病院やクリニックで処方される一般製剤、注射剤や点眼剤などを製造する会社です。同じ部署で働く鈴木さんと須藤さんは子育て真っ最中。忙しくも、仕事と家庭を両立しながら充実した毎日をおくるお二人に話を聞きました。

鈴木彩水さん

鈴木 彩水(スズキアヤミ)さん
山辺町出身。地元の高校卒業後、兄の勧めもあって2017年に入社する。現在、荒谷工場製造第2部包装第1課に所属。3児の母。

須藤芹香さん

須藤 芹香(ストウセリカ)さん
東根市出身。製造の仕事に就きたいと地元の高校卒業後、2019年に入社。荒谷工場製造第2部包装第1課に所属する。2児の母。

みんなの健康を支える、誇りある仕事

入社のきっかけを教えてください。

鈴木
日新製薬に勤めている兄の影響が大きいです。自宅から通える範囲にある大きな会社を探していたところ、「日新製薬は福利厚生がしっかりしていて働きやすい」と兄に勧められました。いずれ、結婚して子育てする立場になっても自立して働きたいという気持ちがあり、それを実現できると思ったのが入社した理由です。
須藤
医薬品ではありませんが、母が製造の仕事に携わっているので、私自身も将来の選択肢として製造業を目指していました。製薬会社を選んだのは、病院に行くたびにジェネリックという医薬品について耳にするようになり、「効き目は変わらないのになぜ低価格なんだろう」と興味を持ったからです。高校の先生に日新製薬を紹介されたことが入社の決め手になりました。

仕事内容を教えてください。

鈴木
荒谷工場では、一般製剤とステロイドなどの高生理活性製剤を製造しています。私たち二人が所属しているのは製造第2部包装第1課。薬が充填されたボトルに機械でラベルを貼り、目視で検品して個装箱、段ボール箱に詰める最終包装を担当しています。最終工程なので、錠剤の割れ・欠けや、資材の外観不良などを見逃してしまうと、そのまま市場に出荷されてしまいます。また、数量管理も重要なポイントであり、少しでも異変があればすぐに報告し、対応が求められる仕事です。
須藤
日新製薬の経営理念は品質第一。患者さんが安心して服用できるように製品の取り扱いに注意し、安全なものを提供できるよう心がけています。
日新製薬株式会社
機器に表示された数量の確認作業
日新製薬株式会社
ボトルへのラベル貼付作業

やりがいを感じるのはどんなときですか?

須藤
包装第1課の中だけでもさまざまな作業があります。新しいことにも挑戦しながらいろいろ学ぶチャンスがあり、自身のスキルアップにもつながります。それが楽しさでもあり、やりがいを感じる瞬間です。
鈴木
子どもに「ママはどんなお仕事しているの?」と聞かれたときに、「薬をつくって、みんなを元気にするお仕事だよ」と言えることに誇りを持っていますし、やりがいを感じています。薬は誰しも使うものなので、子どもも理解しやすいようです。
須藤
年配の方や患者さんが毎日服用するものをつくっているので、人の助けになる仕事だと思いますね。

仕事と家庭を両立、地元企業で働く安心感

働きやすさについてはいかがですか?

鈴木
当社の社員の男女比はほぼ半々。結婚して育児をしながら勤めている女性が多いです。私も3人の子どもがおり、産休・育休制度を活用して復帰しました。子どもの用事があるときは、時間単位で選択できる有休を使って対応しています。短時間勤務制度や時間外労働の規制も導入されているので働きやすいです。
須藤
子どもが小さいので、今は短時間勤務制度を活用しています。子育て中の社員が多いので、急に子どもが熱を出して休まなければならなくなった時も相談しやすく、理解してくれる雰囲気があると思います。
鈴木
子どもが体調不良で学校から連絡がきたりすると、みんなが「早く帰っていいよ」と優しく声をかけてくれます。プライベートで子ども同士を遊ばせたりすることもあります。

地元企業に就職することのメリットは?

須藤
小さい頃から当社のテレビCMを目にしたり、大きな看板を見て「なんの会社だろう?」と思った記憶があったので、就職先として選ぶときも不安はありませんでした。何より、親や友人など頼る人が近くにいてくれる安心感は地元だからこそ。
鈴木
山形の企業なので役員の方たちとの距離が近く、社員たちの意見が届きやすいというメリットがあると感じています。通勤に負担がないのも地元で働く良さです。
日新製薬株式会社

自分らしく働き続けたい

今後の目標を教えてください。

鈴木
後輩たちのサポートをしつつ、私自身も先輩たちの知識をもっと吸収しながらスキルアップを図っていけるようがんばっていきたいです。
須藤
現在は時短勤務ですが、いずれフルタイムになったときにしっかりと対応できるよう“やれること”をどんどん増やしていきたいと思っています。

ものづくりに興味のある女性にメッセージをお願いします。

須藤
ものづくりの業界には男女関係なく、自分に合う仕事があります。そうした場所を見つけて自分らしく働いてほしいです。
鈴木
日新製薬では男性の育児休暇の取得率が高く、男女関係なく育児に参加しようという風潮があります。自分のやりたいことを実現できる良い環境だと思うので一緒に働けたらうれしいです。
(2025/9/8 取材)


日新製薬株式会社

企業からのメッセージ

日新製薬株式会社

弊社は1949年の創立以来、医療への貢献を使命としてきました。医療費の負担増や少子高齢化などから今必要とされているジェネリック医薬品や製造を受託する医薬品を、心を込めて患者さんや医療関係者へ供給しています。信頼される医薬品をつくり出すために技術を学び、最新設備を導入し、製剤設計から品質管理まで真剣に取り組んでいます。医薬品の根幹である品質は私たち一人ひとりの意識がつくる、健康と命に責任を持つことをすべての社員が心に留め、医療に貢献しています。また、産休・育休制度、男性育休制度、短時間勤務制度や時間外労働の規制を導入し、ワークライフバランスを実現。男女関係なく働きやすい職場づくりをめざしていきます。

社員数
代表者:代表取締役社長 川俣知己
所在地:天童市清池東2-3-1
TEL:023-655-2131
URL:https://www.yg-nissin.co.jp/
インターンシップ、企業見学の受入:大学生のみ可

ものづくり求職者マッチング事業合同企業説明会を開催します!(11/29山形市 11/9三川町)

山形県内の「ものづくり産業分野」企業への就職を応援します!

山形県内の「ものづくり企業・IT企業」の良質な雇用を集め、県内就職を支援する合同企業説明会を開催します。
ハローワーク等の相談コーナーもあります。
就活中、ものづくり産業分野に興味のある方、ぜひご参加ください!

【内陸会場】
・日  時:令和7年11月29日(土)
・会  場:山形ビッグウイング(山形市平久保100)
・参加企業:28社

【庄内会場】
・日  時:令和7年11月9日(日)
・会  場:いろり火の里 なの花ホール(三川町横山堤172-1)
・参加企業:14社

【プログラム】※各会場共通
◆ 12:00~
求職者受付開始、予約制求職者説明会
◆ 12:30~13:00
求職者向けセミナー
◆ 13:00~16:00
合同企業説明会
※合同企業説明会に参加された方は、雇用保険の求職活動実績に
該当しますので参加証明書を発行します。

予約申込みをしていただいた方より優先的にご案内いたします。
詳しくは専用ホームページをご覧ください。
https://monomatch-yamagata.com/

【お問い合わせ先】
シー・キャド株式会社(山形県委託事業受託者)
ものづくり求職者マッチング事務局
TEL:023-626-3330[電話受付時間]平日10:00~17:00

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世界で注目されるバッテリー開発技術


世界にはばたくメイドイン山形
世界で注目されるバッテリー開発技術
エナックス株式会社(米沢市)

リチウムイオン電池、リチウムイオンバッテリーにおいて、世界でも屈指の技術開発力をもつエナックス株式会社。顧客のニーズに合わせて、幅広い分野で、確かな開発サービスを提供している。

最高の二次電池を作り続ける

1996年に創業し、来年で30周年を迎えるエナックス株式会社は、積層パウチ型のリチウムイオン電池、リチウムイオンバッテリーの開発技術で多くの大手企業と開発を共にしてきました。現在は、車や航空関連に搭載するバッテリーの開発にも携わっています。
エナックスが開発製造する電池・バッテリーは、二次電池と言われ、使い捨ての乾電池とは異なり、充電して繰り返し使うことができるものです。どのようなデバイスに、どのような性能を求めて搭載されるかを考え、顧客のニーズに合わせて、設計開発から、試作、小ロットの製造までを行っています。
特に近年はモータースポーツ業界で需要が高まり、お客様と一丸となって、より高性能なバッテリーの製造に取り組んでいます。
「モータースポーツ業界のお客様は『一位になれる車を作りたい。去年よりもっと速くしたい。』と願っています。そうすると。これまでで一番のバッテリーを作らないといけないですよね。今までにない最高のものを作るということを、ひたすら継続して、性能を更新しています」(桜井氏)

(桜井雄司社長)
(桜井雄司社長)

グラム単位の世界 ニーズに合わせた性能を追求する

エナックスの強みは、板状の電池をラミネートしたパウチセルの開発技術において、日本国内のみならず世界からも引く手あまたの技術があることです。
電池の性能は、使用する材料の配合によって大きく変わります。
スマートフォンには1回の充電で長く使える電池が、レーシングカーには高出力の電池が求められるように、用途によって必要な性能は異なります。そのニーズに応えるため、材料の配合を緻密に設計し、ときには他社の電池を調達して、数千枚単位でまとめ、パック化します。さらに、製造工程では不純物の混入や湿気による性能低下を防ぐため、ドライクリーンルームを完備。徹底した管理体制によって不良の発生を防ぎ、安全で信頼性の高い電池を提供し続けています。

こうしたきめ細やかな開発を続けられるのは、顧客からの要望を待つのではなく、常に先を見据えて開発しているから。「どうすれば出力を高められるか」「どうすれば耐久性や容量を伸ばせるか」新しい技術に目を向け、改良を重ねる姿勢こそが、次世代の電池を生み出す原動力となっているのです。

積層パウチ型のリチウムイオン電池
積層パウチ型のリチウムイオン電池

他にない技術と提案力で、お客様と一緒に作っていく

持ち込まれる開発依頼の多くは、エナックスの技術や開発力を信頼しての依頼です。時には、納品直後に、次の開発を相談されることもあります。
近年では、モータースポーツ業界において注目度が高まり、国外の企業から開発協力の依頼を受ける機会も増えています。ヨーロッパの企業が視察に訪れたこともあり、その技術力は世界の舞台でも確かな評価を得ています。
「お客様の要求通りただ作るのではなく、お客様の本当の目的は何だろうというのを考えるようにしています。そこから、私たちは何を提案できるかを検討し、確かな技術で実現する。数ある中から私たちを選んでくれるからには、しっかりした技術と、他にない提案力で、自分たちの価値を示していくというのを、常に意識してものづくりをしています」(藤谷氏)

試作品の作成や製造ライン設置までのスピード感やフットワークのよさも、エナックスの強みのひとつ。開発には年単位の時間を要することもありますが、既存のラインを活用することでスピーディに試作品を仕上げることも可能です。迅速にイメージを具現化することで、改善点や新たな要望が見えてきて、さらに高性能なバッテリーへと進化させていくことができます。

(技術開発部部長 藤谷直子さん)
(技術開発部部長 藤谷直子さん)

電池を通じて、社会も社員もより豊かに

長期的な開発を続けていくためには、会社自体が長く続き、社員がスキルを高めていける環境が重要です。そのため、社員の働きやすさ向上にも力を入れています。
エナックスは昨年、山形県がワークライフバランスにおいて優良な企業を認定する「やまがたスマイル企業認定制度」で「ダイヤモンドスマイル企業」を取得しました。男性育休の取得や、フレックスタイムの導入など、社員がより働きやすいような工夫を取り入れています。また、社内での菓子販売や、自販機の飲料一日一本無料といった独自の取り組みも行っています。

「高性能な電池は生活を豊かにするツールだと思っています。この世界に数多くある電池の中で、当社の強みのある電池を作り続け、もっと魅力のある社会、魅力のある製品を世の中に提供していきたいですね。そうすることで、この会社で働く社員に、より豊かな生活を送ってもらえるようにしていきます」(桜井氏)

社員のより豊かな生活が、より高性能なものづくりにつながる。エナックス株式会社の電池やバッテリーは、今日も豊かな暮らしを支えています。

(2025/9/19取材)



エナックス株式会社 米沢事業所

エナックス株式会社 米沢事業所
エナックス株式会社は、創業から30年間、リチウムイオン電池、リチウムイオンバッテリーの開発製造を続け、モータースポーツ業界を中心に、国内外問わず高い評価を受けている。
代表者:代表取締役社長 桜井 雄司
創立:1996年4月15日(会社分割:2019年7月8日)
従業員数:100名 東京本社を含む(2025年9月末時点)
事業内容:
リチウムイオン電池開発・試作受託・製造・販売
バッテリーパック開発・製造販売
リチウムイオン電池搭載アプリケーション製品の設計・製造・販売
リチウムイオン電池の電極の開発
所在地:〒992-1123 山形県米沢市窪田町窪田2474-1
電話:0238-36-0066
FAX:0238-36-0067
URL:https://www.enax.jp/

製造管理のスタンダードを築き上げる。~5S・VM・標準化・効率化の推進~


森谷俊和さん

【プロフィール】
森谷 俊和(もりや としかず)さん
1972年生まれ。東根市出身。
山形県立東根工業高等学校電気科を卒業後、1990年に東北パイオニア株式会社入社。県内工場や海外工場で製造管理から生産管理までを経験し、2022年より株式会社ソアー(旧東北パイオニア株式会社米沢工場)にて製造部門の管理を担っている。
趣味は温泉巡り、旅行。

東北パイオニアで培った 製造管理の俯瞰的知見
私は高校では電気関係を学び、卒業後、オーディオ製品に興味があり東北パイオニアの天童工場に入社しました。それから現在まで、ずっと製造に携わっています。
最初に配属された製造課では、「メカトロニクス(機械に電子回路による高度な制御を施した多機能・高性能な製品の開発)」に携わり、カーステレオのメカニズムの製造管理から生産管理までを担いました。その後、海外赴任を経験し、2,000~3,000人規模の従業員がいるタイ工場の製造部門でGeneral Managerとして「世界一の高品質・高効率の生産」をスローガンに組立工程や作業環境の改善に取り組みました。
2013年に天童工場へ戻り、その8年後、米沢工場(現在の株式会社ソアー)に異動して新規事業「ものづくりソリューション」の製造課を任されることになりました。
天童工場やタイへの赴任で、製造に関する技術的な面だけでなく、予算の考え方や材料の調達、生産ラインの管理、作業環境の整備などに従事し、製造に関わる全体的な考え方を知ることができ、それが現在の仕事の礎になっていると思います。

教育をスタンダード化して快適な作業環境を
私たち製造課は、お客様から依頼を受け開発設計された製品を「形にする」工程を担っています。
製品は小型ディスプレイ搭載製品から医療機器の認証を受けた大型装置など多岐にわたります。

ブリージングデバイス
歩行領域EVの電装ユニット
ダクト内遠隔監視センサーユニット

私たちは「人がものを作る」ということを念頭に、「教育による人づくり」と「ものづくりの標準化」に重点を置いています。「人づくり」は作業方法だけではなく、ものづくりに関しての基本的な考え方も教育に含めることで理解を深めてもらえるようにしています。
また、一人ひとりの技術力はスキルマップを使って適正に評価し、最適な役割を担ってもらうことで、最大限活躍してもらえるよう配慮しています。作業動画を使った教育も導入しており、製品の取り扱い方や作業タイミングを分かりやすく伝えることで、理解度を向上させることができています。
「ものづくりの標準化」は4つのキーワード(ダストレス・ストレスレス・不安定作業レス・整然と流れるライン)を盛り込んだ「ものづくりスタンダード」を策定し、部品と工具の配置の最適化など100項目の条件を定義しています。その条件を満たすように作業環境や作業動線の改善を積み重ねることで、ストレスや不安定な要素を排除し、人と製品に快適な製造環境を目指しています。

作業動画でノウハウ理解度向上
ものづくりスタンダードの教育

スタンダード作業環境を展示していつでも体験できる

大型装置の生産は数千点の部品を組み合わせる工程のため、一般的には経験と高い専門性が求められます。そこで私たちは3Dアニメーションを使った作業仕様書を導入し、経験が少ない方でも専門的な作業ができるような取り組みも行っています。また、2名チームを構成し、複数台を平行生産しながらタブレット端末を使って組立状況を相互にチェックする方法を標準化しています。

3Dアニメーションを見ながら組立
2人1チームで相互チェックを欠かさない

自作の管理システムと目で見る管理(Visual Management)で徹底的に効率化を図る
新しい製品の製造依頼が来たら、まずは生産技術課に要求事項を確認しながら製品に合った最適な製造工程を「ものづくりスタンダード」をベースに生産環境をつくり上げます。実際に走り出した製造管理については、自作の実績管理システムを構築しており、実績/進捗/目標対比の状況をリアルタイムに把握できるようにしています。実績の入力をシンプルにすることで、朝礼で前日の実績を示せるだけでなく、毎月1日目には前月の月次分析やトレンドを報告することができるようになりました。各生産ラインの前にVMボードも設置して必要な管理内容を「見える化」することでミス無く運用することができます。また、製品を作るために必要な部品管理も「見える化」を行っています。ひとつの製品を作るためには数百~数千の部品が必要になりますが、どこにいくらあるのかを常に把握する事ができ、無駄を省くことで全体の流れを効率的に管理する事ができます。

報連相と5Sの精神で無駄のないオペレーションを築く
今の仕事に従事して特に思うことは、2つあります。
ひとつは、やはり「報連相」が大事だということ。問題が起きたり変だなと感じたりした時に、しっかりと5W1Hで正しく伝えらもらうことが何より大切です。当社では「Bad News First」(悪い情報は先に皆で共有しよう)ということを重視しているのですが、何かミスをした時にすぐに報告できるようにするためには、「話しても大丈夫」という信頼関係や安心感がなければできません。そのため、日々の声がけや話し合いでそういった関係性を築き続けることが大事だと感じています。
もうひとつは、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)。これは作業環境だけでなく、仕事そのものにも通ずる考えだと思います。誰が見てもわかるように環境を整えておくこと。資料のファイリングやファイルホルダなどもルールを統一して整備することで、だれでも間違えないで無駄をなくす事ができます。
これからは、パソコン操作をオートメーションでおこなうアプリの使い方を習得して現在の管理システムをさらに改良していきたいと考えています。更に業務効率を上げ、人づくりとものづくりをしていきます。
(2025/9/11取材)




株式会社ソアー
株式会社ソアー

株式会社ソアー

1981年にパイオニア100%子会社である東北パイオニアの米沢事業所としてスタートし、音響メーカーとして音づくり・ものづくりを追求してきた。1997年には世界初の有機ELディスプレイの量産化に成功。2022年に株式会社ソアーとして新たな歩みを始め、有機EL事業・ものづくりソリューション事業を両輪として価値あるものづくりを目指す。2024年、サクサグループの一員となる。

株式会社ソアー
代表者:代表取締役 兼 社長執行役員 八巻 雅敏
設立:2022年1月14日
従業員数:200名(2025年4月1日時点)
事業内容:
・有機ELデバイス(ディスプレイ/特殊光源等)の開発・製造・販売
・開発・製造受託サービス(ODM/EMS)の提供
所在地:〒992-1128 山形県米沢市八幡原四丁目3146-7
TEL:0238-28-1211
URL:https://www.soar-tech.co.jp/

Categories: 山形の達人