世界にはばたくメイドイン山形
世界に誇る「縫い」の技術
メカトロニクスで
衣食住を支える
株式会社ハッピージャパン(山形市)

ミシンや刺繍機、ICハンドラー、FA装置など、幅広い分野で国内外に販路を広げる株式会社ハッピージャパン。2023年に100周年を迎え、さらに100年、200年続く企業を目指して日々進化を続けている。

ミシン生産から始まった100年の歴史
株式会社ハッピージャパンの前身である原田製作所(1923年創業)は、木型や鋳物を製造していましたが、終戦後まもなく、オリジナルミシンの製造を開始。日本のミシンを世界に広める一翼を担いました。2014年にはグループ企業3社を統合し、株式会社ハッピージャパンを設立。より高い技術力を目指して、資金や人材、技術を集約しました。2023年に100周年を迎え、今後の成長に向けて躍進しています。
主力商品は、ハッピーブランドのミシンや、ミシンの技術を生かした刺繍機、半導体を検査するICハンドラー、工場の製造ラインを担うFA(ファクトリーオートメーション)装置、食品機器など多岐にわたり、幅広い分野で国内外のものづくりを支えています。

縫いのきれいさと速さにこだわる
ミシンは中でモーターを回転させ、針を横や縦に動かします。その回転数は1分間に1200回に上り、この技術を応用して製造するのが刺繍機です。刺繍機は、1頭(刺繍を行う部分)から12頭のものまであり、北米、アジアなど多くの国に出荷されています。特に、刺繍機は1秒間に1,500回転し、これは業界最速を誇ります。回転数が多いほど、作業時間の短縮につながり、高い生産性を可能にします。
ハッピージャパンでは近年、自社ブランドの家庭用ミシンの製造を再開しました。縫いがきれいで速いのはもちろんのこと、集合住宅でも隣近所を気にしなくて済むよう、静穏化にも力を入れています。
「刺繍機は縫いがきれいでなくてはいけないし、ボタンホール一つにしてもブランドのこだわりがあります。加えて、工場で何機も刺繍機を並べれば騒音が気になりますが、当社の刺繍機は静穏化に優れているため、耳をふさがなくていいんです」(横尾社長)
HCD3E-1501-40(工業用単頭刺繍機)
HCD3E-1501-40(工業用単頭刺繍機)

現行機からさらに「倍」良いものを
ICハンドラーは、半導体デバイスをテスターで最終的な性能の試験を行うための搬送装置です。半導体デバイスを一つずつ取って測定を行い、問題ないかを検証します。製造当初は少数だった同時検査数を、ハッピージャパンでは世界の企業と競い合いながら増やしてきました。現在の同時検査数は32個、1時間あたり28,000~32,000個の半導体デバイスを検査します。この同時検査数とスピードは、世界最速です。
こうした世界でもトップの速さや技術を誇る背景には、企業として掲げる理念があります。
「お客様が驚くような提案をして、お客様のWANTSにこたえていく。だから、ちょっとずつ増やすのではなく、倍にしていかないと」(横尾社長)
お客様が必要としていることに応えるだけでなく、望みを超える驚きをもたらせるように意識してものづくりを行うことで、自分たちの技術も進化していけるのです。
(横尾政好社長)
(横尾政好社長)

設計から製造、アフターサービスまで一貫した生産体制
ハッピージャパンの強みの一つが、設計から製造、アフターサービスまで一貫して自社で行える生産体制です。メカトロニクス(メカニカル×エレクロトニクス)を軸に、メカニカルな設計も、エレクロトニクス関連の技術も、ソフトの設計もすべて自社で行います。製造拠点である工場にもこだわり、世界でも有数の名機を導入。災害時にもすぐに稼働できるような工夫や、工場内の温度管理を徹底し、品物にとって最適な環境を保っています。すべては「より良いものを作る」ため。一貫生産をすることで、設計時の改善点のフィードバックがしやすく、次の製品への改良も容易です。
加えて、社員のほぼすべてが製品製造に関する知識を持っているという点も強みです。営業や資材購買の担当者も、図面から加工のイメージができるよう、研修を行っています。技術者も豊富で、国家資格の一級技能士をはじめ、特級技能士も複数名在籍しています。
そうした環境が、ミシンをはじめとした量産品だけでなく、FA装置などのほかにない一品物の装置の開発も可能としています。FA装置は、工場の製造ラインそのものであり、製品一つひとつ必要な操作が異なる装置です。これまで2500種類以上を製造し、そのほぼすべてが一品物。そうした一品物で最先端の技術を習得・開発し、その技術を量産品に活かしていく、この流れが、たゆまぬ技術の進化につながっています。

さらに100年、世界で1、2を争う企業に
横尾社長は、「今後100年、200年を生き抜く企業として、本当に良いものはどんなものかをシンプルに考え、お客様が驚き、信頼されるものづくりを続けていきたい」と語ります。
「静かで縫いのきれいさが売りのハッピージャパンブランドのミシンを世界へもっと広げ、すでに世界で使用されている刺繍機をディファクトスタンダードと呼ばれるところまで押し上げ、国内トップシェアを誇るICハンドラーを世界にも展開し、ほかのFA装置や食品機器もより良いものを製造していく。衣食住すべての分野で、他社にない強みを持ち、お客様目線で開発を続けていくことで、今後100年、200年と愛される企業を目指します」
お客様の「ハッピー」を作り続けるために、常に前を向いて、技術を磨いていく。ハッピージャパンの発展は、これからも続きます。
(2024/10/3取材)



株式会社ハッピージャパン

株式会社ハッピージャパン
「『ものづくり』を通しお客様に感動をもたらし、お客様に必要とされ続ける企業を目指します。」を理念に掲げ、2014年に関連3社を統合して発足。人々を幸せにしたいという創業精神を引き継ぎ、世界へ広く製品を届けるべく、国際競争力のあるものづくり体制を構築している。
取締役会長 原田 啓太郎\取締役社長 横尾 政好
創業:1923年11月
従業員数:270名(2024年10月現在)
事業内容:ミシン、工業用刺繍機、FA装置、半導体関連装置、食品・業務用機械等の設計・製造・販売・修理
所在地:〒990-2251 山形県山形市立谷川三丁目3515番地
電話:023-686-2272
FAX:023-686-2243
URL:https://www.happyjpn.com/
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