有限会社 玉谷製麺所
世界にはばたくメイドイン山形
独自の製麺工法で 四季を纏うパスタを世界へ
有限会社 玉谷製麺所(西川町)

地元農家の相談をきっかけに生まれた「月山黒米うどん」がグッドデザイン賞受賞。そしてパリの展示会で来場者を驚かせた「雪結晶パスタ」へ。玉谷製麺所の卓越した技術と妥協のない探究心は、食卓に山形を表現する唯一無二のパスタシリーズを生み出し続けている。

限界の壁を乗り越えた 製麺へのこだわり

山形県西川町の玉谷製麺所は、そば・うどん・パスタなどの製造を手がける製麺所。金型設計から配合、乾燥工程に至るまで、独自の技術をひとつずつ積み上げてきた会社です。看板は、石臼挽き・低温乾燥にこだわり抜いた乾麺「月山そば」と「雪結晶パスタ」をはじめとするショートパスタシリーズ。国内の百貨店から海外まで、食卓を彩る楽しさと味わいを届けています。
その歩みを支えていたのは、決して諦めない、製麺技術への飽くなき探究心でした。

玉谷製麺所工場に隣接する直売店「つぉろの舗」

「黒米パスタ」がグッドデザイン賞に

専務取締役で商品開発を担う玉谷貴子氏は、結婚を機に西川町へ移住しました。大学の農学部で学んだ知識を活かし、商品企画やパッケージデザインをしていましたが、平成23年に東日本大震災が起こると、風評被害から売り上げが伸び悩んだと言います。
「当時、お客様から『震災前に作ったうどんなら買うけれど、それ以降のものは欲しくない』という言葉があったんです。そういった風評を打破するためにも、“ここにしかないもの”を作りたいと思い始めました」(玉谷氏)

ちょうどその頃、山形県工業技術センターのデザインセミナーに通いながら商品開発の学びを深めていた玉谷氏は、講師から「グッドデザイン賞に出品してみないか」と勧められたそうです。
パッケージデザインを玉谷氏自ら作成したのが「月山黒米パスタ」。
「締め切りのわずか1週間前でしたが、試行錯誤を重ねてなんとか満足のいくものだったので、思い切って出品してみました」(玉谷氏)
その結果、出品した黒米パスタは見事グッドデザイン賞を受賞! さらに、翌年には黒米うどんと、当時開発していた黒米ショートパスタもダメもとでエントリーしたところ、2つそろって受賞を果たしました。
まだ始めたばかりだったショートパスタの商品開発は、ここからますます加速することとなります。

専務取締役 品質管理・企画開発担当 玉谷 貴子 氏

専務取締役 品質管理・企画開発担当
玉谷 貴子 氏

「ジャパニーズ・クレイジー!」イタリアのシェフも驚いた製麺技法

次の大きな挑戦となったのは、西川町のシンボルである月山の四季を表現しようと着手した「雪結晶パスタ」でした。雪の結晶は細い部分が多く、金型メーカーから「形は作れても、食品として製造することはできない」と告げられるところから、探究が始まりました。

試作品は、結晶の先端部が茹でても硬いままになってしまうという失敗の連続だったといいます。
「『先端部は細すぎて水の分子が入っていけないため、やわらかくならない』というのが失敗から得た結論でした。でも、ふとしたアクシデントがあって水から茹でたら、やわらかく茹であがって、水の分子が細部にも入っていくことができたんです」(玉谷氏)

そのヒントをもとに、これまで培ってきた製麺技術から配合を調整したところ、均等に茹であげることが可能になりました。ほんの小さな偶然と妥協のない探究が、雪結晶パスタの商品化を実現させたのです。
そして、翌年1月にはパリでの展示会へ出品。不可能と思われていた形状のショートパスタに、現地のイタリア人シェフからは「ジャパニーズ・クレイジー」と驚かれたそうです。雪結晶パスタは、芸術的な形状であるだけでなく、モチモチとおいしい食感も楽しめ、展示会では高評価を得ることができました。

「雪結晶パスタ」もグッドデザイン賞を受賞

「雪結晶パスタ」もグッドデザイン賞を受賞

西川町のシンボル「月山」の四季をショートパスタに

造形したショートパスタを販売していると、次第に周囲から要望が届くようになりました。そして、「春のパスタを作ってほしい」というお客様の一言が、次の挑戦のきっかけになりました。

春といえば桜。けれど、桜の形をしたパスタは世の中にまだ存在していませんでした。海外のパスタの多くは一筆書きか丸の集合体で形成されており、同じ太さで作られています。複雑な花びらの形状を、割れず崩れず、おいしく茹であがるように仕上げるには緻密な設計が必要で、金型づくりに苦労を重ね、ようやくきれいな花びらを再現した桜のパスタが完成しました。
「春を表現する『桜のパスタ』が完成して、次は夏と秋を企画しました。秋は『紅葉』と、すぐに決まりましたが、夏はいろんな案が出て迷いました。でも、西川町は『雪と緑と太陽のまち』であることを思い出し、太陽を表現することにしたんです」(玉谷氏)

こうして、四季それぞれのパスタが完成すると、その次はさらに難易度が高い「将棋の駒」パスタと、次々と挑戦を重ねていきました。それぞれのパスタの色は着色料を使わず、ビーツやニンジンなどの野菜や、さくらんぼやラ・フランスといった山形ならではの果物を練り込みました。規格外で廃棄されるはずだった食材も積極的に活かしています。

こうした商品開発の礎となっているのは、看板の乾麺「月山そば」などを長年支えてきた製麺に対するポリシーと探究心でした。玉谷製麺所のそばは、すべて自社の石臼で挽いたそば粉を使用しています。また、何分何秒で茹でるのが一番おいしいかを綿密に研究し、最良の茹で時間を「作り方」に書くようにしているそうです。香り高く美味しい仕上がりにするための製品へのこだわりと飽くなき探究心が、そばからパスタへと形を変えて受け継がれています。

玉谷製麺所から世界の食卓へ

現在、玉谷製麺所の商品は香港・台湾・アメリカなど海外にも渡っています。国内でも、個人客や百貨店にとどまらず、給食・介護施設・レストランなど活用の幅は広がり続けています。
「これからの目標は、『こんなパスタを作ってほしい』というお客様の夢が叶えられるものを作り続けていきたいということです。そして、山形の素材を練り込むことで、農業への貢献にもつながると思うので、いろいろ試していきたいですね。また、安定した供給ができ、今よりも輸出の幅と量を広げることも見据えています。レストランなどで業務用として利用されることを目指したいです」(玉谷氏)

ひとつの技術が次の技術を生み、彩りとおいしさを追求した麺製品を次々と生み出す玉谷製麺所。そのものづくりは、これからも進化を続けていきます。

直売店「つぉろの舗」で品出しをする玉谷氏

直売店「つぉろの舗」で品出しをする玉谷氏
ショートパスタシリーズと主力商品たち

ショートパスタシリーズと主力商品たち
(2026/8/24取材)

有限会社 玉谷製麺所

有限会社 玉谷製麺所
山形県西川町で、そば・うどん・パスタなどの製麺業を営む。金型設計から配合、乾燥工程に至るまで独自の技術を積み重ね、グッドデザイン賞を受賞した「雪結晶パスタ」をはじめ、四季をテーマにしたショートパスタシリーズを展開。国内の百貨店・給食・介護施設・レストランのほか、海外にも商品を届けている。
代表者:代表取締役社長 玉谷隆治
創業:1949年10月
従業員数:24名 ※2026年8月現在
事業内容:乾麺・生麺の製造販売(そば、うどん、ラーメン、冷麦、そうめん、パスタ)
所在地:山形県西村山郡西川町睦合甲242
TEL:0237-74-2817
フリーダイヤル(TEL):0120-77-5308
FAX:0120-77-5506
フリーダイヤル(FAX):0120-77-5506
URL:https://www.tamayaseimen.co.jp/wp/
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