高品質の薄膜材料を
世界に送り出す
東ソー・スペシャリティマテリアル株式会社は、長年培った粉末冶金の技術をベースに独自の成形、焼成、高純度化技術を開発し、スパッタリングターゲットを始めとした高品質の薄膜材料、セラミックス材料を提供しています。その技術は深化し続け、総合化学メーカーである東ソー株式会社のグループ企業として、高機能材料事業分野の一翼を担っています。
髙木 紀広 さん
東北工業大学に進学後、じん帯を損傷し長期入院により中途退学。宮城県内の企業に勤めた後、2015年に東ソー・スペシャリティマテリアル株式会社へ入社。
製造部ターゲット製造課に所属。
私は、子どもの頃からものづくりが好きで、自転車をいじったり組み立てたりしていました。たぶん器用なほうだったと思います。高校は、工業高校の電子システム科に通ったのですが、「プログラムを組むよりも、手を動かしてものを作るほうが好きだし集中できるな」と思っていました。
高校卒業後は、宮城県の大学に進学しましたが、バスケットボールでじん帯を損傷し、しばらく入院していました。その後、宮城県での就職などを経て、両親と暮らすことを選び、10年前に山形にUターンしました。
当社の名前は、以前からいろいろな所で目にしていました。電子部品や半導体は、これからもどんどん必要とされてくる分野でやりがいがあるし、自分の器用さや得意分野を活かせる仕事かもしれないと思い、入社しました。
初めて当社に来て思ったことは、「(社屋が)でかい!」でした。それから、いろいろな事業に関わっていて、世の中にとても貢献している会社だと思いました。
実際に働いてみると、職場の雰囲気がとても良く、一人ひとりの意識がとても高いと感じました。製品の品質をとても大事にしていて、気になったところがあれば、すぐ「直そう」となる感じです。すごいな、と感じました。
私が入社した頃は、年上の人ばかりで「大丈夫かな」と少し不安になったのですが、全然そんな不安は必要ありませんでした。一緒に作業しながら「ここはこうすると良いよ」という感じでアドバイスをもらい、仕事を覚えていけたので、わかりやすかったし、自然に仕事ができるようになっていきました。
それから、福利厚生がとても良くて、有給休暇もボーナスも満足しています。正直、今まで働いてきた所では、なかなかそこまで揃っていることはなかったので、条件がとても良いと思いました。
当社は「スパッタリングターゲット※」を製造していますが、私が担当しているのは、最後の仕上げの「ボンディング」という工程です。薄膜材料となるスパッタリングターゲットをバッキングプレートというものにハンダで貼り付けるという仕事です。超音波のハンダこてを使用して、空気が入らないようにすり合わせて接着します。
対象となる製品は、基本的には四角いものが多いですが、小さいものから大きいもの、丸いもの、分厚いものなど、いろいろです。
※スパッタリングターゲット
半導体やセンサー、ディスプレイ、タッチパネルなどの薄膜を形成する材料。薄膜は、製品の強化や保護、光の制御、集積回路や表示デバイスの形成など重要な役割を担います。
その薄膜を施した製品は、自動車やスマートフォン、薄型テレビ、ゲーム機、パソコン、太陽光パネルなどに組み込まれています。
ボンディングという作業は、一つひとつ、ほぼ手作業なのですが、先輩方の「製品の品質に妥協しない」というところを、私も見習っています。接着率の基準をクリアしていても、気になる所があれば「剥がそう」と言ってやり直すんです。「会社として恥ずかしくない製品を作る」ということを、私も意識して仕事をしています。
作業後は接着率を確認しますが、きちんとクリアできていないと剥がれる危険があるので、基準以下の場合はやり直しとなります。この作業は、剥離する準備 (一度ハンダで接着した製品を再び炉に入れてハンダを溶かす作業)もあるので、とても時間がかかり、割と大変ですね。スケジュールなど先のことも考えながらしています。
以前、テーブル1台分くらいの、大きな四角形の製品(スパッタリングターゲット) を貼るという作業がありました。4人掛かりで作業したのですが、うまく接着できず、何度もやり直しながら「こうしたらどうだろう」と試行錯誤を繰り返しました。
最終的には完成させることができたのですが、みんなで手順を確認して「次回からこうしましょう」と話し合ったことで、次に似たような製品が来た時は1回できれいに接着することができました。同じ製品でも個体差があり、同じやり方で必ずうまくいくというものではないため、その時その時で状況をみて、臨機応変にするというところがあります。慣れてくると、手に伝わる微妙な感覚でわかることがあります。そこがまた、やりがいがあるところです。
私が入社してから、若い社員がどんどん増えてきました。今まで先輩から教わってきたものを、今度は私が若手に伝えていけたらいいな、というのが今の目標です。みんなが居心地よく「ここで良かった」と思える雰囲気にしていけたらと思っています。
自分の仕事としては、今はひとつの工程を担当していますが、少しずつ他の工程にも関わっているので、仕上げ全体の生産管理というか、流れを把握できるようになっていきたいと思います。
私は、必要とされている分野で自分の技術や特技を生かしたいという気持ちがあり、当社に決めました。「これだったらできそう」というものよりは、「ちょっと大変かな」、「難しそう」と思うことにチャレンジしたほうがおもしろいし、やりがいが感じられるのかなと思います。
東ソー・スペシャリティマテリアル株式会社
代表者:代表取締役社長 大道 信勝
設立:1994年12月
従業員数:64名(男56・女8) ※2024年10月1日時点
事業内容:スパッタリングターゲット製造、セラミックス製品他
所在地:〒990-2338 山形県山形市蔵王松ヶ丘二丁目1番6号(本社)
TEL:023-689-0150
FAX:023-689-0155
URL:https://www.t-smc.co.jp/